薬剤師の英語での服薬指導をYouTubeを使って分析してみる その1

今回は、カナダの薬剤師が実際に服薬指導をしている様子を分析してみようと思います。

この分析をすることで、以下の価値があると思います。

①実際に海外で使われている英語の表現を学ぶことができる
②英語のリスニングの勉強になる
③カナダの薬剤師が服薬指導で重点的に說明している内容を知ることができる
④日本の自分の服薬指導に取り入れることができるようになる

今回紹介する服薬指導の動画ですが、カナダの国家試験であるOSCEの対策のために学校がyou tubeに無料で公開しているものです。OSCEとは、Objective Structured Clinical Examinationの略で、客観的に臨床能力を評価する試験です。

 

したがって、このOSCEのパフォーマンスがカナダで薬剤師になるための一つの基準となります。

英語での動画ですので、ステップを2つに分けてやっていきたいと思います。

  1. 英語を日本語に翻訳する (英語が得意な方は飛ばして頂いて構いません。)
  2. 服薬指導の内容について構造的に理解する(次回の記事とします)

 

まず今回は、1)についてやってみましょう。

こちらに動画のリンクを貼っておきますので、これを見ながら読んでいってください。

初めは会社の紹介ですので、41秒から見始めてください。

では、早速、見てみましょう。

最初に薬剤師のJulieが部屋に入り、その後、女性患者が部屋に入り、会話が始まります。

 

いかがだったでしょうか。

 

見て頂くと感じると思いますが、英語を聞き取るのは中々大変ですよね。

 

カナダの薬剤師を目指そうと思った当初に、この動画を見たのですが、ほとんど何を言っているのかわかりませんでした。ところどころで聞いたことのある単語は聞き取れるのですが、理解するのは非常に難しかったと感じたのを覚えています。なので、1回聞いて、あきらめないでくださいね。できれば、この動画を2回、3回と聞いてみてください。何度も聞いていくうちに少しずつ聞き取れる単語が増えてくるハズです。

 

女性患者アンダーソンさんが処方箋薬を取りにきました。そして、薬剤師Julieが対応します。今回、アンダーソンさんに処方されたのはクレストールです。これまで彼女はリピトールを服用していたのですが、筋肉の痛みが出現し、今回、クレストールに変更になったというシチュエーションです。まず、薬剤師としてJulieは、アンダーソンさんに既往歴やアレルギー歴、妊娠の有無、服用薬の有無を確認します。また同時にライフスタイルについても聴き取りをします。その後、クレストールの服薬指導、その他、ライフスタイルの指導をします。

もう少し詳しく見てみましょう。

<イントロダクション>

Hi my name is Julie. I’m the pharmacist on duty. how can I help you?

自分の自己紹介と、自分が薬剤師であることを伝えます。「On duty」というのは、「今日当番、担当である」という意味です。

I am just here to pick up my medicine.

薬を取りに来ましたと、女性は答えます。「Pick up」は英語でよく使う表現です。預けた処方箋を、「取りに」来るという意味でここは使っています。

Just to reassure you everything we discuss is private and confidential. So, everything stays between you and I.

「Confidential」秘密厳守という意味です。ここでは、患者から聞いた内容については2人だけにすると答えています。Reassureは「保証する」「約束する」という意味です。

I ‘d just like to ask you a few questions about your medical history to make sure the most appropriate medication for yourself. Is that okay?

患者の利益を最大限にするために、いくつか質問をしてもよいか患者に了解を得ます。Appropriate=適切な

<情報収集>

What was your name?  → My name is Jessica Anderson.

まず初めに患者の名前を確認します。

And I have your profile on file here. Is it okay if we review it together?

手元に患者のProfile (いわゆる薬歴や患者情報)があり、それを一緒に確認しても良いか許可を患者さんに求めています。

It says here that you are taking Lipitor 20mg once a day. Is that correct?  → Oh no. The doctor discontinued that. I was getting really bad muscle pain.

リピトール20mg 1T/ 1×1を飲んでいるか確認すると、実は筋肉痛が出て、医師が中止したと患者が教えてくれました。Discontinue=やめる

Oh I’m sorry to hear about that.

「それはお気の毒ですね。」ここでは、患者がリピトールで筋肉の痛みを経験したことに、共感の意をこめて、この表現を使っています。実は、こういった表現がテストで非常に重要なのですが、実際の現場でも重要ですよね。

Just before we get to that, are you taking any other medications? Maalox? Maalox? Over the counter medications, is that correct? That’s right, for acid? For acid ?And how often do you take that? Maybe 3 or 4 times a week.

ここでは、他に飲んでいる薬がないか確認しています。Maalox(マーロックス)という酸中和剤を週に3-4回飲むと言っています。ここの「3 or 4 times a week」という表現は、汎用性が高く、覚えておくと非常に役に立つ表現です。

Maalox (アルミニウムとマグネシウム塩の製剤)

Okay, sounds good. Any other medications? Any herbal products? Any natural products multivitamin? → No.

ハーブや健康食品、ビタミン剤を飲んでいないか確認します。

Lifestyle can affect the way your medicines work in your body. I would like to ask you a few questions about that.

ここでは、患者のライフスタイルについても確認します。ライフスタイルは、薬が身体に効く上で影響を及ぼしてしまうことがあります。ここの「can」は〜できるの「能力のcan」ではなく、〜しうるの「可能性のcan」です。日本語で患者に服薬指導をしている時など確証が持てない時、「この薬で絶対に治ります」だとか、「副作用は出ません。」という言い切る表現はしないことが多いですよね?英語も同じように、このように確証を持てないことを伝える場合、「can」や「could」などを使います。

Can you tell me about your alcohol consumption? You don’t drink.
What about caffeine consumption?
What about exercise?
What about any smoking? Do you smoke at all? Not a smoker. Okay, just record that.
Sometimes, in females, medicines can have different effects if women are childbearing age. Is there any chance that you are pregnant or breastfeeding? oh no.

アルコール、カフェイン、運動、喫煙の有無、そして、妊娠と授乳について聞きます。

 

<服薬指導>

So,  I do have your prescription ready for you . I’d like to review it with you and if that’s okay.

処方箋の薬が準備できているので、今から確認しましょう。I’d like to = I would like to (-したい)

So you’ve been prescribed a Crestor 10mg at bedtime.

クレストール10mgが寝る前に処方されました、と伝えます。 英語でPrescriptionは「処方箋」という意味です。ここでは、prescribeという「処方する」という動詞が受け身で使われています。

The chemical name for Crestor is Rosuvastatin and the doctor like I mentioned has suggested taking it at bedtime so it’s one tablet before going to bed.

クレストールの成分は、ロスバスタチンであり、寝る前に1T飲むように再度確認しています。

You can take it with or without food. It doesn’t matter. However, sometimes it can cause a bit of an upset stomach so if that happens you can take it after taking some food.

食事と一緒に取ってもいいかどうかについて伝えています。「take it with or without food」という表現が、「食事に関係なく、薬を飲んでもいいですよね。」という表現です。この「with or without food」という表現、日本語訳とは少しかけ離れていますね。ここの「it」はもちろん、「クレストール」のことです。

もし、胃が痛くなる(upset stomach)のなら、食後に薬を飲んでくださいと言っています。 日本と海外で少し違うところは、あえて医師が処方箋に食後と書かないところです。逆に言うと、薬剤師の判断で食前、食後、空腹時などを決めなくてはいけないという側面でもあります

ここでも助動詞の「can」が使われています。ここのcanは「許可」の意味であり、上で出てきた「可能性や能力のcan」とはまた別の使い方がされているようです。「食事と一緒に薬と一緒に取ってもどちらでもいいですよ。」という意味で使われていると思われます。

It doesn’t matter.=それは大きな問題ではないですよ。

When you were taking the Lipitor if you remember there was a restriction on grapefruit juice because there was an interaction with grapefruit juice. That’s not the case with Crestor. So just you know you can take it with or without grapefruit juice.

リピトールを飲んでいた時、グレープフルーツジュースと飲み合わせがあり、制限がありましたが、クレストールでは問題なさそうです。なので、グレープフルーツジュースを飲んでも良いです。

That is not the case with-: -の場合にはあてはまらない。 Interaction: 相互作用、飲み合わせ、restriction: 制限

And some other things in terms of side effects so I know you had muscle pain with the Lipitor. Generally, patients who had muscle pain with Lipitor do a lot better when switch to a different medication in same class. Crestor should be okay.

他の副作用の事について言うと、アンダーソンさんには筋肉の痛みが出ていましたよね。通常、リピトールで痛みが出た時、同じクラスの違う成分の薬に変えると痛みが良くなることがあります。したがって、クレストールでは良くなるはずです。

最後の「should be okay」という表現ですが、これもこれまで說明してきた助動詞の「can」と同じような使い方です。「-はずだ」という推量の意味で使っています。

But, unfortunately, there’s still a small chance that it can still cause muscle pain so if that happens I would suggest that you contact your doctor as soon as you can . There’s also a very rare but important side effects that it can severely affect your muscles in which case you may have dark or dark brown pee when you go to the washroom so if that happens I would advise you to call your doctor immediately.

しかし、それでも運悪くクレストールが筋肉の痛みを引き起こす可能性があります。万が一起こったら、できるだけすぐ医師にかかることをおすすめします。また、非常に稀ですが筋肉への重要な副作用の症状として、暗褐色の尿が出ることがあります。そうなったら、すぐに病院に受診して医師に見てもらってください。

ここの英語表現は薬の副作用が出たときに対処方法について說明していますね。どうすべきなのかを伝えるために、contact your doctor (主治医に連絡を取る)だとか、call your doctor (主治医に電話してね)とかいう英語表現が使われています。これらは知っておくと、より親切ですね。

また、as soon as you can-:できる限り早く、immediately:すぐに、という語句をこれらの動詞に足すことによって、どの程度深刻な症状なのか患者に伝えることができます。

And like I mentioned these are rare side effects but it’s just important for me to mention for you. Because it’s the first time that you take Crestor, there’s always a small risk that might be allergy. It is not common. but just in case it happens, make sure to watch out for anything after the first dose. And you can either call us or call your doctor.

そして、まれに副作用が出ることがあると伝えましたが、それは今回クレストールを初めて飲むからですね。また、稀ですが、薬にアレルギーが出るリスクは常にあります。万が一起こる可能性があるので、一番最初に飲む時だけは気をつけてくださいね。私たちか主治医に連絡してくださいね。

And then you mentioned you were taking the Maalox 3 or 4 times per week. And so there’s actually an interaction with Maalox and Crestor at the way it’s absorbed. So it’s still okay for you to take the Maalox. It’s just important to space it out from when you take compared to the Crestor.

また、マーロックスを週に3-4回程度飲むと言われました。実は、実際にマーロックスとクレストールには薬の吸収する課程において飲み合わせがあります。マーロックスを飲むことは大丈夫ですが、クレストールを飲む時は時間を空けて飲むことを覚えておいてください。

ここでは相互作用について說明をしており、特に「at the way it’s absorbed」を付け足すことによって、「吸収の課程において」相互作用があると、說明をしています。また、Spaceという言葉が「時間、間隔を空けて」という意味の単語で、ここでは動詞として使っています。日本語でも「スペースを空けて」 と使いますから、まずまず馴染みはありますよね。

There is also some lifestyle changes that you can make that help make improvements in your cholesterol levels. You mentioned that you don’t exercise that much. So exercise can be a key component in improving your cholesterol so if you can maybe try adding in 20 to 30 minutes of exercise if you times per week to start off with. and then also diet is very key so in terms of diet I can actually refer you to a dietician and you can speak in further detail about ways to optimize your cholesterol levels. Is that okay?

また、生活スタイル(ライフスタイル)を変えることで、コレステロールレベルを改善することによい影響があります。あまり運動をされていないと先程話して頂けましたが、運動はコレステロールを下げるためにキーとなる部分です。まず、20-30分の運動を始めるところから初めてください。

また、食事は非常に重要です。この点については、栄養士をご紹介させてもらおうと思っています。そこでコレステロールを下げるための良い食事について相談に乗ってもらえると思います。いかがでしょうか。

ダイエットという言葉は、やせるための「ダイエット」として日本でよく使われますが、英語では、「diet」=「食事」として使います。よって、同様に「dietician」=栄養士です。

That’d be great.

それは素晴らしいわね。

If it’s ok with you I’d like to maybe give you a call in a few days just to see how you’re doing that you’re not having any more muscle pain and then we can speak in about a month time as well to see if there’s been any improvement in your blood work.

もし気になさらないならば、2,3日後に電話をさしあげて、筋肉の痛みが出ていないかを確認させて頂きたいと思っています。また、だいたい1か月後くらいに血液検査の結果に改善があるかどうかについて一緒にお話させてもらえたらなと思います。

a few days=数日後、blood work=血液検査

That be great thank you.

ありがとう。助かるわ。

Okay. Have a great day

はい、それではまたね。

 

いかがだったでしょうか。

実際の現場で使われている英語というのは、やはりテキストとは英語の表現が全然違うし、英語が非常に速いなと感じた方も多いと思います。

これを見て、逆に自分には絶対に無理だと思った方もいたと思いますが、心配しないでください。

最初からここまでしっかり說明できる方はいません。

英語圏生まれの薬剤師であっても、少しずつ学びながら、服薬指導はできるようになるはずです。

ですから、私達も少しずつできるようになっていけばいいのです。

今回のこの服薬指導は、モデルケースとして参考程度にしておいてください。

次回は、この服薬指導を構造的に分解していく予定です。

 

 

 

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