前回の記事では、日本の調剤のシステムでは無駄があると書きました。
そして今回からは、カナダの投薬システムを日本で活かす方法について具体的に考えてみます。
日本とカナダでは法律が違っているので、それを踏まえた上で、日本に生かせる形で考えて行きたいと思っています。
今回のテーマは、いかに投薬 (服薬指導) を効果的、そして効率的にやるか、です。
今回は簡単な例で、私たちが調剤薬局で働いていると仮定し、そこに新しく2型の糖尿病と診断され、メトホルミンの処方箋を持ってきたものとします。その後も続けて調剤薬局に来たものとします。
下記が、私の考える理想とする投薬のイメージです。(あくまで参考に)
初回: (week1-) →しっかりメトホルミンについて服薬指導する。ここは日本もカナダも同じ。初めて処方されたのだから、患者も知りたいと思っている。
2回目(week2-5)→ 効果の判定 ( 当日測った空腹時血糖や随時血糖について), 副作用の判定(低血糖、消化器症状など)。
3-4回目(week6-11) →2回目で効果や副作用について問題なければ、特に評価しない。HbA1Cが計測されるまで待つ。
5回目(week12- )→ HbA1Cの値を聞き、その値が良ければ、あとの評価は6か月ごとに介入すれば良いと思われる。
もう一つ知っておいて欲しいのは、調剤薬局において薬剤師が患者に介入する頻度やタイミングは、患者が処方箋を持ってくる頻度やタイミング、すなわち、完全に医師次第になってしまうということです。
医師にもよるが、状態が安定してからも1週間ごとに出す医師もいれば、4週間ごとに出す医師もいるし、なかには3か月分出すこともあります。
そうすると、上記に記載したようなタイミングで介入が難しいのではないか?と思うかもしれません。
では、薬剤師はどうしたらいいのか?
それは積極的にメリハリをつけた服薬指導をするということで解決できると思います。単純に患者が来たら、全てに薬の説明をするという方法ではなく、薬剤の効果や副作用を評価するタイムスパン(Onset of Action)に応じて、介入し、聴き取りをするということです。
介入すべき時よりも早いタイミングで患者が薬局に来た場合、そこはほとんど薬を渡すぐらいの投薬で構わないと思うし、逆にもっと頻繁に介入すべきなのに長期処方が出されていた場合、電話でFollowするということで対応できると思います。
今回は、薬の効果や副作用の発現時期 (Onset of Action)という概念を使って、より効果的かつ効率的な服薬指導について考えました。
少しでもみなさんの業務に役立てば幸いです。
参考:
Canadian Diabetes Associationの Clinical Practice Guidelineから引用