カナダ薬剤師情報

カナダの病院薬剤師とその働き方【Newsletter back#1】

こんにちは。

カナダ薬剤師のシンペイです!

今回は、「カナダの病院薬剤師とその働き方」というテーマで送らせて頂きます。

バンクーバーから東に車で1時間、

チリワックの町から配信しています。

なぜチリワックという町に来たのか?

それは今回、

前からの念願であった

カナダの病院薬剤師の

シャドーイングをさせてもらう

機会を得たからです。

シャドーイングとは

英語のトレーニングでも使われますが、

その名の通り、

「シャドー= 影」になることです。

つまり、

他の病院薬剤師の下について、

その仕事内容を見せてもらうことです。

日本の病院薬剤師というと、

患者との距離は近く、

やりがいは多いですが、

給料は安く、激務のイメージがあります。

一方、

カナダの病院薬剤師はというと、

給料は高く、エリート職のイメージが強いです。

そんな病院薬剤師の仕事ですが、

BC州では特に、

薬剤師のグレードによって仕事内容が変わってきます。

グレード(Grade)とは、「格付け」のことです。

つまり、

これまでの経験や資格、学歴によって、

薬剤師がグレード1から3まで格付けされ、

個々の能力によって、

仕事内容が決められるのです。

グレード1の薬剤師は、主に薬局(Dispensary) での仕事、

グレード2と3の薬剤師は、病棟で働く、いわゆるクリニカルファーマシストと呼ばれる薬剤師です。

このグレード2以上のクリニカルファーマシストは、

レジデンシープログラムかPharmDを持っていないと、なることができません。

そして、それらを持っていても、なりたい人が多く、非常に競争率が高いです。

次に、病院薬剤師の仕事内容です。

彼らの仕事内容は専門的でとても面白いと思ったのですが、

わたしがその中でも驚いたのは、

「薬を見たり、触ったりしない」ということです。

一番下っ端のグレード1の薬剤師でさえ、薬をもう見ません。

なぜなら、テクニシャンが代わりに全てやってしまうからです。

(テクニシャンとは、いわゆる、薬剤師の補佐をしてくれるアシスタントです。日本だと医療事務の方がそれに近いでしょうか。)

カナダでは、無菌混合や抗がん剤の混合、一包化や軟膏のミックスなど、

テクニシャンが実施してもよいことになっています。

そのおかげで、

薬剤師は専門領域に特化して、その力を最大限に発揮することが可能です。

また、入院患者の薬ですが、

実はその多くは、この病院内で作っていません。

いくつかの病院の薬を管理する中央センターがあり、

そこから、周辺の病院へ送られていくシステムになっています。

したがって、院内で作る薬は、

入院初日の薬、または無菌混合など直前に混合しなくてはいけない薬だけです。

そして、それらの薬もテクニシャンが作ってくれるので、

薬剤師が薬を調剤することは、ほとんどないのです。

かなり驚きのシステムですよね?

最後に、

グレード2以上の薬剤師ですが、

彼らは病棟で、患者の薬物療法の最適化に貢献しています。

病院によって異なりますが、

抗生剤の用法用量の変更やワーファリンの用量調整、

また、持参薬継続の有無などは、

薬剤師の判断のみで変更が可能です。

もちろん、それに必要な検査オーダーも出すことができます。

責任がより重い感じがしますよね。

日本でも、薬剤師業務を見直す0402通知があり、

今後、薬剤師業務が大きく変わってくるかもしれませんね。

これからの薬剤師業界の変化に期待しましょう♫

カナダの薬剤師の仕事内容に興味がある方はこちらもぜひ読んでみてください!
https://ptweb.jp/article/2019/190920003831/

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