カナダで学んだことを日本に生かす カナダ薬剤師情報

時代にそぐわない日本の保険システム【Newletter back#2】

さて、本題です。

今回は「日本の保険制度」

について書いてみたいと思います。

最近、処方せん薬である

湿布薬や花粉症薬が、

保険適応から外されるという議論がされていますね。

それらを使っている人からしたら、

「それは困る!」

となると思います。

では世界的に見たら、これはどうなのでしょうか?

実は、

日本のように、

「ほとんど全ての処方薬が保険適応である」

という国はまれです。

カナダでは、

一部の処方薬のみが

保険適応になっています。

例えば、

糖尿病の薬には、

メトホルミン、SU剤、DPP4阻害剤、SGLT2剤などありますが、

カナダで基本的に保険適応になるのは、

メトホルミンとSU剤です。

これらの薬剤は、

新しい系統のDPP4阻害剤やSGLT2に比べて、

安いわりに効果も高い、

つまり、

費用対効果に優れているので、

カナダでよく処方されます。

もちろん、DPP4阻害剤なども処方することは可能ですが、

患者が高い薬を自己負担をすることになるので、

それを喜んで支払う方はまれです。

「いやいや、そんなこと言ったら、

もしメトホルミンやSU剤が効かなかったら、

どうするんですか?!」

と考える方もいらっしゃると思います。

もちろん、それも大丈夫。

メトホルミンやSU剤で、

効果が無かった場合や、

副作用やアレルギーが出た場合、

その事実を国に報告することで、

DPP4阻害剤やSGLT2などが、

保険適応になるシステムになっています。

つまり、

まずは費用対効果の良い薬剤を優先的に使いつつも、

高価な薬剤の使用も可能にしているのです。

したがって、

カナダではメトホルミンとSU剤が

中心に使用されているのが現状なのです。

なんか意外ですよね?

私は、

「海外=医療が進んでいる=新薬を使う」

というイメージが勝手にあったので、

この現状に驚きました。

そう考えると、

逆に日本のように、新薬が出たからといって、

闇雲に使うという現状がおかしいのではないか、

と考えることもできます。

耐性菌の出現ももちろんですが、

それ以上に、

医療費は限られているので、

必要なところに必要な医療費を投入すべきなのです。

最近でいえば、

インフルエンザの新薬ゾフルーザが次々と処方され、

大きな話題になりました。

タミフルやリレンザという選択肢がある中で、

ゾフルーザは本当に必要なのでしょうか?

今年もインフルエンザの時期が近づいてきました。

さぁみなさんは、

インフルエンザの治療に何をすすめますか?

今日も最後まで読んでいただき、

ありがとうございました。

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